電磁気で地震予知 ～最新科学で地震予知は可能か？(9)

すっかりご無沙汰していた、地震予知関連の連載であるが、つい最近になって
今後の地震予知に関連する小さな（しかし重要な）ニュースが2件ほどあったので
お知らせしよう。

1つ目は探査船「ちきゅう」の修理が終わったとの報である。
●地球深部探査船「ちきゅう」のアジマススラスター修理工事の状況と今後の予定について
　http://www.jamstec.go.jp/j/about/press_release/20090210/index.html


かつてみた「ちきゅう」

昨年春に、紀伊半島の沖合で地震調査のために掘削を行ったのだが、その際に
スラスターと呼ばれる推進器（ようするにスクリュー）を損傷してしまった。抜本的
修理に半年以上かけて、この度無事復活。再び紀伊半島沖の”魔の海域”に挑むのだ。
その「ちきゅう」君、先月に神戸港で"病み上がり後"の一般公開があり、
多くの方が来場されたようである。
●「伊賀の地より 「しのびぐま」の日記」さん
　http://blogs.yahoo.co.jp/shinobiguma/46649992.html
●「自然と文化のお話し」さん
　http://blogs.yahoo.co.jp/dekunobou36/47012018.html
うーーむ、人が多すぎる。きっと満足に船内見学をできなかった人もいたのだろう。。。
関係者になり変ってお詫び申し上げます　m(_ _)m

…このように市民の人気を集める探査船「ちきゅう」であるが、その最も期待される
成果は巨大地震を引き起こす活断層そのものの掘削である。地震を引き起こす活断層
の岩石を持って帰ってきて、分析することで、活断層がどのようにしてズルッとすべる
のか＝つまり地震がどのように起きるかを明らかにしようというわけである。

ところが、だ。活断層といっても広い。仮にうまく断層を掘りぬけたとしても、
そうそう都合よく、断層の謎を一気に解明してくれるような岩石サンプルが採れる
とは限らないのではないか？

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もうひとつ。朝、NHKニュースを見ていたら、「地震を予知するためにスロースリップを
もっと詳しく研究するよ」というニュースが流れていた。
●地震 スロースリップ研究を（NHK）
　http://www3.nhk.or.jp/news/k10014211081000.html
　2月17日 5時56分 　※すでにリンク切れ


スロースリップとはこのブログでも何度か紹介したが「ゆっくり地震」とか
「ゆっくりすべり」とも呼ばれている現象で、最近になって見つかった現象だ。
スロースリップの原因解明や、スロースリップそのものの検出は、巨大地震の予知に
役立つと期待されている。
●旅する「ゆっくり地震」
　http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2006-12-09
●巨大地震とゆっくり地震
　http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2006-12-11
●電磁気で地震予知　～ゆっくりすべり(5)
　http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2008-02-10
※最近は「スロースリップ」という言葉で、この現象を呼ぶように統一されたようです。
　「ゆっくり」だとなんか安全・安心な感じがしてしまうからカタカナにしたのかなぁ？

NHKニュースの元ネタは、地震予知の実用化にむけて政府が設置している「地震予知
連絡会」から。スロースリップの研究を重点的に進めていくことを決定したようだ。
●第１８０回地震予知連絡会議事概要
　http://cais.gsi.go.jp/YOCHIREN/JIS/180/180.html

しかし同じく地震の専門家からなる地震学会のホームページによれば、スロースリップ
が見つかったとしても、必ず地震予知ができるというわけではないようだ。
●FAQ・東海地震（日本地震学会）
　http://wwwsoc.nii.ac.jp/ssj/FAQ/FAQ4.html
　（FAQ 4-6　質問：東海スロースリップの時空間的な変化をＧＰＳ等で追跡することで
　東海地震の予知はできるのでしょうか？）

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「ちきゅう」の穴掘りにしても、「スロースリップ」研究にしても、なんだか本当に
地震予知に役立つのかどうか、不安になってきました。
いったいどういうことなのでしょうか？

それにはある理由があります。続きは次回で。
こんどは早めにアップするよ（汗）